モーツァルト♪
哀しみのモーツァルト~弦楽四重奏曲編①~
全モーツァルト作品の中から、
というシリーズ。
今回は、弦楽四重奏(カルテット)です。
若き日のモーツァルトが、敬愛してやまない
大先輩作曲家に捧げた「ハイドン・セット」。
当時の弦楽四重奏曲は、6曲ひと組で出版されることが多く、
このハイドン四重奏曲も、ワンセット6曲になっています。
今日の短調曲は、セット中二番目。
なんとなんと、モーツァルトの妻コンスタンチェが長男を
出産するときに、苦痛の叫び声をあげていたのを譜面に
書き込んだ(?!)というエピソードがあるんですよ。
ほんとかどうかは定かではありませんが、
それはこの第三楽章の中だと主張する研究もあります。(^^;)
どうぞ、みなさんの耳で聴いて確かめてみてくださいね。(^O^)/ ♪
(私にはよくわかりませんでした…)
ハイドン四重奏曲 第2番 ニ短調 K.421(417b) 第三楽章
哀しみのモーツァルト~幻想曲編②~
あとの方は 1785年に作曲されました。
お弟子さんだったトラットナー夫人という人に
献呈されたらしいです。
モーツァルトが弟子のために書いた曲は どれもこれも
レベルが高く、みんな相当の腕前だったよう。
(ちなみにモーツァルトは、下手な弟子はとらないと決めていたらしい。(-_-))
この曲の自筆譜が発見されたのが、なんと1990年!
ロンドンのサザビーズ・オークションで競り落とされた時のお値段は
88万ポンド(約170万ドル)だったとのこと。
(現在の日本円では…1億7510万円くらいですか?(゜o゜))
先回紹介したニ短調幻想曲とともに、中高生の生徒さんにも人気のピアノ曲です。
いわゆる、モーツァルトっぽくないところがいいんですって!
今回は、ピアノフォルテの演奏でどうぞ。(^^♪
哀しみのモーツァルト~幻想曲編①~
<伝統的な形式にとらわれず、作曲者の幻想の
おもむくままに、自由に即興的に作曲された作品>
と言われます。
モーツァルトの、代表的な幻想曲は二つ。
最初のは、1782年 26歳のときに作られました。
その年の夏、モーツァルトはコンスタンツェとめでたく結婚式を挙げています。
が、前年にはザルツブルクの大司教と大ゲンカして、故郷を飛び出してもいる。
人生で、ものすごく大きな変化のあった頃!(゜o゜)
(私は、個人的にはこっちの曲ほうが好きなんです。自由奔放さが魅力的)
この幻想曲は、ラストが失われていることで有名でもあります。(つまり未完)
97小節までで、モーツァルト自身の曲は中断されており、最後の
10小節は、誰かほかの人の手で補足されたらしい。
確かに、妙に明るくあっさり終わってる感じがするし、
とってつけたみたいな印象もある。
どこでどうなっているのか、解説してくれているページを
見つけたので、リンクしておきます。じっくり見てみてください。(^O^)
さぁ、このラストの感じ、みなさんはどう思いますか?
哀しみのモーツァルト~オペラ編~
「フィガロの結婚」が上演されました。
プラハの人たちはこのオペラに熱狂し、
<フィガロの曲以外は何も歌われない>というような
一大ブームを巻き起こしたと言われています。
その後、プラハの劇団からオペラの新作を依頼された
モーツァルトは、「ドン・ジョヴァンニ」を書き上げました。
ドン・ジョヴァンニ(イタリア語)とはドン・ファン(スペイン語)、
すなわち、プレイボーイのこと!
(当時の実在の人物、カサノヴァをモデルに脚本が書かれたとも…)
放蕩三昧の果てに、殺人まで犯しながら、
決して悔い改めることのない男、ドン・ジョヴァンニ。
最後には、殺された男の石像(亡霊)に、地獄に連れていかれてしまいます。
そのシーンの、このアリア!
激しくも恐ろしい短調。怖すぎです…。( ;∀;)
ドラマ・ジョコーゾ ≪ドン・ジョヴァンニ≫ K.527より
哀しみのモーツァルト~交響曲編②~
たった二つしかない短調(悲しい感じ)。
今日は、先回につづいて もうひとつの短調作品、
「大ト短調交響曲」です。
モーツァルトは、晩年モーレツな勢いで
三つの交響曲を作曲しました。
1788年6月・・・第39番。
同じ年の7月・・・40番。(これが大ト短調)
さらに8月・・・41番。
(なんと、ひと月に一曲ずつというハイペース!)
3曲セットで構想されたらしく、まん中の40番が短調なのは、
「変化・転換」を表すためだったと考えられています。
実は、この頃のモーツァルトは、立て続けに身内の不幸に見舞われていました。
1785年に父レオポルトが死去。
翌年には、娘が生後まもなく腸閉塞で亡くなっています。
人間モーツァルトと、神童モーツァルト。この間にはいったい何があるのでしょうね。
彼の音楽を聴いていると、厳しい現実や深い悲しみも
一段高いところから見つめている目を感じるのですが、
みなさんはいかがでしょうか?
哀しみのモーツァルト~交響曲編①~
協奏曲と同じく、モーツァルトの交響曲には、
短調(悲しい感じ)は二曲しかありません。
しかも、どちらもト短調(ソの音から始まる音階で
作られている)の作品です。
今日は、そのうちのひとつ。
もう一方と比べて、「小ト短調交響曲」と
称されるものを紹介します。
これを作曲した当時、モーツァルトは弱冠17歳でした。(゜o゜)
すでにザルツブルクの宮廷音楽家として活躍していた頃。
当時の交響曲は、演奏会のオープニングを飾る「序曲」的な役割だった
ので、にぎやかな長調(楽しい感じ)で作られることが多かったのです。
それに比べて、この曲の嵐のような激しさ、悲劇的な雰囲気はどうでしょう。
映画「アマデウス」の冒頭で、サリエリが自殺をはかるシーンに使われ、
それがあんまりピッタリだったので、思わずうなってしまいました。(^^;)
若き日のモーツァルトの激情を彷彿とさせるような一曲です。
交響曲 第25番 ト短調 K.183(173dB) 第一楽章
「夜の女王」の聴き比べ!
モーツァルトの傑作オペラ「魔笛」。
今日は、 夜の女王が歌う有名なアリア
スポットを当ててみます!
コロラトゥーラと呼ばれる華麗な超絶技巧に加えて、
ソプラノのほとんど最高音である3点ヘ音(ピアノの鍵盤で
言うと、まん中近くのファから2オクターヴ上のファ!)
まで要求される、ものすごく難しい歌です。
当時の初演歌手は、ヨゼーファ・ホーファーという、
モーツァルトの初恋の相手アロイジアのお姉さんでした。
(アロイジアに失恋したモーツァルトは、のちにその妹のコンスタンツェと
結婚することになり・・。3人姉妹の、このへん いろいろとフクザツ)
つべのこべの言うよりも、とにかく聴いてみましょう。(^o^)
まずは、グルベローヴァから。
ひたすら端正。美しい女王といった感じ。
次は、デセイ。
オペラ歌手は女優でもあることを実感。この演技力!
最後はダムラウ。
演技を通り越して、怖すぎる・・・。
いやぁ、聴き比べも面白いものですね!
くせになりそうです。(≧▽≦)
哀しみのモーツァルト~ピアノ協奏曲編②~
27番までありますが、その中で
短調の作品は二つだけです。
なぜ長調の曲が圧倒的に多かったのか。
それは、モーツァルト自身の好みでもなんでもなく、
時代の風潮で そうせざるを得なかった・・と
言えるでしょう。
ソリストのテクニックを際立たせ、華やかで社交的な
雰囲気を演出するために作られたもの。
それが当時の協奏曲(コンチェルト)でした。
短調のピアノ協奏曲は、モーツァルトにとって、
音楽的な挑戦だったのかもしれません。
暗い激しさに満ちた この二つの協奏曲は、
のちにベートーヴェンも好んで演奏したと言われています。
(確かに、ベートーヴェン、好きそうです・・・(^^;))
アヴェ・ヴェルム・コルプス
「めでたし、真の御体よ。人々の犠牲となった方よ。
臨終の試練を救いたまえ。慈悲深きイエスよ・・・」
わずか45小節という短い作品ですが、リストが
ピアノ曲に編曲したり、チャイコフスキーが
組曲第4番≪モーツァルティアーナ≫で管弦楽曲にしたり、
たくさんの音楽家にも愛されてきました。
魂が引き上げられるような合唱。
ずっとずっと、いつまでも聴いていたいような、天国的な一曲です。
哀しみのモーツァルト~ピアノ協奏曲編①~
モーツァルトのピアノ協奏曲の中で、
短調(悲しい感じ)の作品は二つしかありません。
だから、それらからスタートするのが
筋なのですが・・・
今回はあえて それを後回しにして、この曲を紹介することにします。
この協奏曲の、第1楽章と第3楽章は長調(楽しい感じ)ですが、
あいだに はさまっている第2楽章が、「短調」なのです。
どこまでも静謐で、透明とも言える深い哀しみの世界・・・そんな風に思えます。
ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 第2楽章 アダージョ