いつものようにY子ちゃんがやって来ました。
ちょっと今日は元気ないかな?
と思ったら案の定、浮かぬ顔をしています。
ーY子ちゃん、このあいだのクリスマス会、たのしかったね?
あえて話題をクリスマス会に向けました。
ーうん。
ー曲もがんばったね。
ー全然がんばってない。
ーえ?
ーいっぱいまちがえたもん。
予感的中。
演奏がうまくいかなかったことを気にしているのだとわかりました。
ーY子、自信ないから発表会はめっちゃカンタンな曲でええわ。
ー…。
そのあと、発表会のことには あえて触れませんでした。
しばらく、たわいのないことをおしゃべりしました。
いろんなことを、たくさん、たくさん。
だんだんとY子ちゃんに笑顔が戻ってきました。
ーね、この曲、聴いてみて。
ピアノソナタを2曲ばかり弾いて聴かせました。
すると、Y子ちゃんは、
ーはじめの方が好き。すてきな曲や…。
ー発表会、これにしようか?
ーうん。それにする!
もう、Y子ちゃんはすっかり元気になっています。
ーすてきやし、あとのより、ちょっぴしカンタンそうやしね!
と、Y子ちゃんはペロッと舌を出して笑いました。
失敗しても、またがんばろう。
すてきな曲をたくさん弾こう。
そして、またみんなに聴いてもらおうね。